大学の卒業旅行に、男3人で行くことにしましたが、貧乏学生で、旅行のお金もなかったので、唯一、親から譲ってもらった車でお金のかからない卒業旅行を計画しました。
学生らしい発想ですが、車で寝泊まりして、食事はカップラーメンを大量に買い込み、ガスコンロと寝袋などを持参して旅行を行うという、無謀な計画でした。
期間は2週間で九州の福岡から出発しました。
ドライバーは、一人が免許を持っていなかったので、ナビゲーターとして助手席へ、残り二人で、全国を、下道を通って回りました。
ほとんどの時間を移動に費やしていたので、下道で青森まで4日で到着しました。
学生の感覚だったので、青森から北海道まで、トンネルでいけると思い込んでいましたが、
もちろん渡れるわけなく、断念して、本州と九州一周の旅行に、青森最北端で変更しました。
車中泊を1週間ほど繰り返すと、足の関節に痛みがあり、温泉で疲れを癒そうとして、山形県蔵王の温泉街を訪れました。
温泉につかっていると、早く出たメンバーの一人が旅館の亭主と話をしており、
車をみた亭主は「足が痛かろう、部屋は余っとるから泊っていけ。お金はいらん。明日の朝、私はタヌキだからお前さんたちは化かされとるよ」と笑いながら、泊めてくれました。
食事も提供していただき本当に良い思い出になりました。旅館は山形の蔵王温泉の伊勢屋さんです。
人生において、あんなにも人の温かみに触れたのは先にも後にもこれっきりです。旅先での人の出会いは大切な思い出です。